なぜ広告にターゲティングは必要なのか

現代のデジタル社会においては、私たちは日常的に広告と接しています。ネット上やテレビ、ラジオ、屋外看板など、広告は至るところで目にする存在です。

その中で、企業のマーケティング活動で広告を打つ際は「ターゲティング」をすることが重要だと言われてますが、みなさんなぜだか分かりますでしょうか。

今回は広告におけるターゲティングの重要性について解説していきます。

そもそもターゲティングとは

ビジネス用語として使う「ターゲティング」とは特定の市場や顧客層を明確に定め、それらに対して戦略やマーケティング活動を行うことを指します。

ターゲティングは自社の商品やサービスが、ターゲット市場のニーズや要求を理解した上で適切に提供できるものなのかを考えます。

ターゲティングする際には下記の項目で顧客層の分類分けをすることが多いです。

  • 年齢
  • 性別
  • 居住地
  • 家族構成
  • 収入状況
  • 性格
  • 職業
  • 生活スタイル

なぜターゲティングは必要なのか

なぜ広告にターゲティングが必要なのでしょうか。

それは人によってその商品やサービスに対して感じる価値が違うからです。

ひと昔前のマーケティング手法では、広範な視聴者や顧客にアプローチすることが一般的でした。

しかし、今ではどの業界であっても企業競争は激化し、あらゆる広告が消費者の目に入ります。

適切なタイミングや興味のある内容の広告を見せないと、単に関心を引くことができないだけではなく、逆に不快感を与えかねません。

だから、商品やサービスの価値を感じてもらえる人をターゲティングすることが重要です。

広告主を取り巻く環境の変化

以前と比べ広告主を取り巻く環境も大きく変化しています。

広告ストレスは購買に影響する

今インターネット上にはあらゆる情報が溢れています。消費者はネットを通じて情報の収集を行うのがスタンダードになったため、広告との接点も増えました。

その結果、広告によって消費者の感情変化も起きやすい時代となっています。

ヤフーが行った調査では実際にWeb広告を通じて企業やサービスを嫌いになった経験があると答えた方が半数以上いることもわかっています。

画像引用:Yahoo!広告 推奨運用六連(ろくれん)より

一方で広告の受容度は高い

一方でまたヤフーの調査によると、インターネット上のサービスを利用するうえで広告が配信されることに約90%もの人が理解を示していることが分かっています。

広告によって、新たな商品や企業を認知できる点にも共感を得ています。

画像引用:Yahoo!広告 推奨運用六連(ろくれん)より

これらの調査データからもユーザーの感情に配慮し、関心やニーズに合わせた広告が重視されるようになってきたことが伺えます。

つまり、広告は価値を感じてもらえる人をターゲティングすることが重要です。

ターゲティングの目的

ターゲティングの目的は広告効果を最大化することです。

以下に具体的な目的を3つ挙げます。

①ユーザー体験の向上(ユーザーとの関連性向上)

ターゲティングを行うことで、ユーザーにとって関連性の高い広告を提供することができます。

当然、ユーザーが関心を示す可能性が高い広告を表示すれば、クリック率やコンバージョン率の向上も期待できるでしょう。

また、ユーザーにとっても、自分の関心に合った広告を見ることで、商品や企業の有益な情報や新しい情報を受け取れるため、ユーザー体験が向上します。

②広告予算・投資対効果の最適化

ターゲティングには、広告予算や投資対効果を最適化する役割もあります。

まったく商品やサービスに興味をもたない層に広告を見せても広告費がかさむだけです。

きちんと特定のターゲット層にフォーカスすることで、無駄なクリックや広告表示を最小限に抑え、予算の浪費を防ぐことができます。

その結果、より多くの商品の購買やコンバージョンを生み出し、広告主のROIを向上させることも期待できます。

③広告のパーソナライズ化

ターゲティングを活用すれば、ユーザーの属性や行動に基づいて広告のメッセージを個別にカスタマイズすることも可能となります。

例えば、ECサイトでユーザーが最近スニーカーのページを閲覧した場合、そのユーザーに対してスニーカーの新作やセール情報を提示することができます。

他にも過去に購入した商品履歴に基づいて、関連する商品の広告を表示させたり、ユーザーの現在地といった地理的位置に基づいて、広告をパーソナライズ化することもできます。

どうやってターゲティングをしていくか

それではどうやってターゲティングを行っていけばよいのでしょうか。

ここからはターゲティングのしていき方を順を追って説明していきます。

①顧客ニーズの理解

まず、ターゲティングを考えていくには顧客のニーズを深く理解していく必要があります。

現代では、多くの商品やサービスであふれているため、消費者のニーズも多様化しています。

身近な例として、コーヒーショップの例でニーズを考えてみましょう。

例えば、

  • 仕事の合間にさっとコーヒーを飲みたいビジネスマン
  • 落ち着いたおしゃれな空間で女子会をしたい大学生
  • 本格派の高級コーヒーを飲みたい
  • 一杯が安く、いつでも気軽に通える

一部にはなりますが、これらのニーズにすべてひとつのコーヒーショップで応えることはできません。

ビジネスマンが足しげく通うお店でゆったりと落ち着いて女子会はできないですよね。

また、価格面においても高級コーヒーを扱うところは気軽に通うのも難しいです。

よくみんなのニーズに応えられる万人受けするサービスを提供したいと考える人もいます。

しかし、マーケティング戦略においては、「万人受け」よりも明確にターゲットを絞ったほうが結果的に多くの顧客獲得につながります。

②ターゲットの特定

次にニーズを理解したら、具体的にターゲットを特定していきましょう。

ターゲットの特定については年齢や性別、所得などのデモグラフィック情報を活用すると良いです。

例えば、ビジネスマンをターゲットとするコーヒーショップであれば、お店はオフィス街や通勤や移動で便利な駅前に構えることを考えます。

そして広告は20代~40代の働く男性や女性を対象とした広告を考えていきます。

③行動インサイトの抽出

ターゲットの特定ができたら顧客の行動パターンや好みを分析し、インサイトを抽出しましょう。

例えば、ビジネスパーソンは朝にコーヒーを求めることが多いかもしれません。

④広告チャネルの選定

インサイトが抽出できたら、広告を配信するチャネルを選びます。ターゲットがよく利用するメディアやチャネルを把握することで、広告がターゲットに届くかが決まるといっても過言ではありません。

例えば、ビジネスパーソンがよく利用するSNSやオフィス街の掲示板、電車やタクシー広告などを活用することが考えられます。

先ほど抽出したインサイトを踏まえ、朝の時間帯に上記のチャネルに出すと高い効果が期待できるでしょう。

⑤メッセージのカスタマイズ

ターゲットに合わせたメッセージを作成し、関心を引くようにします。

例えば、ビジネスパーソン向けの広告では、忙しい朝に手軽に美味しいコーヒーを提供するというメッセージが効果的かもしれません。

このように広告のターゲティングにはニーズを理解したうえで、ターゲットの特定、行動インサイトの抽出、適切なチャネル選定、メッセージのカスタマイズを行っていきます。

また、広告を配信した後も適切に広告効果をモニタリングし、必要に応じて改善や最適化を行っていきましょう。

Web広告のターゲティングの仕組み

ここからはWeb広告がどのようにターゲティングを行っているかを説明していきます。

いわゆるユーザーがウェブ上でとった行動履歴というものはCookie(クッキー)やウェブサーバーにログとして残ります。このログ情報を利用してWeb広告はターゲティングを行います。他にもユーザーがサービスに登録しているプロフィール情報を利用してターゲティングする方法もあります。

Cookieについては、下記記事で詳しく解説しております。

関連記事 Cookie規制でどうなる?今すぐ知っておきたい影響とマーケティングにおける対策法

ターゲティング広告の種類

主要なターゲティング広告を4つ紹介します。

  • オーディエンスターゲティング
  • コンテンツターゲティング
  • ジオターゲティング
  • デバイスターゲティング

ひとつずつ見ていきましょう。

オーディエンスターゲティング

オーディエンスターゲティングとは、特定の属性や特徴を持つ特定のユーザーに対して広告を配信する手法です。この手法では、一般的にビッグデータと呼ばれているユーザーのデモグラフィック情報、興味関心、行動履歴などを分析し、より具体的なターゲットユーザーを定義して広告を配信します。

具体的には以下のようなものがあります。

属性ターゲティング

年齢、性別、地理的な位置、言語、家族構成など、ユーザーの基本的な属性(デモグラフィック情報)を考慮します。

例えば、特定の地域に住む若年層の女性に対して特化した広告を配信することができます。

行動ターゲティング

ユーザーの過去の行動や購買履歴を考慮します。これには、特定のウェブサイトの訪問、製品の購入、メルマガへの反応などを分析して、ユーザーの傾向や好みを把握します。

例えば、特定の商品を購入したユーザーに対して関連商品やアップセルの広告を配信することができます。

リターゲティング

リターゲティングは既にウェブサイトやアプリに訪れたことがあるユーザーに対して、他のサイトを閲覧している時に再度広告を配信させる手法です。

一度のサイト訪問では商品購入に至らなかったユーザーに再配信することで、再度商品への関心を引き起こし、購買を促進する効果があります。

一般的に他の手法と比べても成約率が高い手法です。

サーチキーワードターゲティング

指定したキーワードを検索したユーザーに対して広告を表示する手法です。いわゆる一般的にリスティング広告と呼ばれているものがこれに当てはまります。

具体的にユーザーが直接キーワードを入力しているため、顕在的なニーズを持つユーザーにアプローチすることができます。

コンテンツターゲティング

コンテンツターゲティングは、ウェブサイトのコンテンツ内容を分析してターゲティングする手法です。

オーディエンスターゲティングが「人」に対して行うターゲティングであるのに対し、コンテンツターゲティングは「場所」に対するターゲティングとなります。

例えば、ある自動車メーカーが新しい車の広告を展開したいとします。この場合自動車の最新情報を扱うニュースメディアに広告を掲載するというイメージです。

ジオターゲティング

ジオターゲティングは、IPアドレスやGPS、Wifi、Bluetoothなどから取得できる位置情報を使って、特定の場所にいる人やこれからその場所へ行く予定のある人に広告を表示させます。

例えば、特定の地域でのイベントやセールの告知など、ローカルビジネスと相性が良いです。

デバイスターゲティング

デバイスターゲティングとは、広告を特定のデバイスやデバイスカテゴリに基づいて配信する手法です。

パソコン、スマートフォン、タブレットなど広告主はユーザーが閲覧するデバイスタイプを指定し、そのデバイスを使用しているユーザーに広告を表示させることができます。

例えば、BtoB向けのサービスを提供している場合は、基本的に対象となるターゲットはビジネスユーザーであるため、パソコンで情報を収集することが多いです。

このような場合は、パソコンを利用しているユーザーに配信したほうが良いでしょう。

一方、toC向け商品やサービスを扱う場合はスマホユーザーの方が圧倒的に多いため、スマートフォンに広告を配信する方が効果的です。

動画広告のターゲティングの考え方

それでは動画広告の活用を検討する場合、どのようにターゲティングを考えていけばよいでしょうか。

まず、大前提として動画広告はリスティングとは異なり、潜在層ユーザーへのアプローチを得意とする動画広告です。

潜在層ユーザーとはまだ自社の商品やサービスへのニーズは明確になっていないものの、関連する商品ジャンルやテーマに興味を示している人たちです。

もちろん、広告訴求の仕方次第では、顕在層へのアプローチも可能ですが、動きやビジュアル訴求で印象付けすることができる動画広告は幅広い潜在層へアプローチするのに適しています。

しかし、潜在層にアプローチできるって一言で言っても、潜在層のユーザーも非常に幅が広いです。

例えば、これから新商品のオーガニック化粧水をこれからPRしていくとなったときでも潜在層となるターゲット層はいくつか挙げられます。

  • 「美意識の高いスキンケア愛好家」
  • 「日常的に自然派やオーガニック製品に興味を持つ人々」
  • 「アンチエイジング意識の高い人々」
  • 「美容やリラクゼーションのためにエステやジムに通う人々」

などこれらも一部の例ですが、潜在層にも様々なユーザー層がいます。

それらの層に対してオーガニック化粧水をPRしていく場合でも、訴求する内容やメッセージを変えていくことが重要です。

また、動画広告を発信する媒体選びも大事です。

女性向けに配信したいなら多くの女性が利用しているメディアに配信することも検討しなければなりません。

まとめ

顧客のニーズが多様化している今の時代だからこそ、商品やサービスの価値や良さを伝えるには

「然るべき消費者に」

「然るべきタイミングで」

「然るべきメッセージを」

伝える必要があります。

だからこそターゲティングは企業の広告戦略に必要不可欠です。

そして、ターゲティングを行うには、顧客のニーズを深く理解する必要があります。

今回紹介した例をもとに顧客のニーズを理解して、ターゲティングを行ってもらえればと思います。

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