【2023年版】動画広告とは?効果や目的、制作のポイントまで基本を解説

動画広告は2010年代からYouTubeを皮切りに登場して以来、今では多種多様な動画広告が出現しました。近年の広告フォーマットのメインコンテンツともいえる存在でしょう。

今後も動画広告の市場規模は右肩上がりに伸びていくと言われています。

動画広告とは

動画広告とは文字通りクリエイティブに静止画ではなく、動画を用いた広告のことを指します。

スマホやSNSの普及、5Gの整備により動画はいつでもどこでも見れるコンテンツとなりました。

インターネット広告の割合でも動画広告の割合は、近年急激に伸びています。

動画広告の市場規模

動画広告は2010年代に登場して以来、順調に右肩上がりに伸長しています。

サイバーエージェントの調査によると、2022年の動画広告市場は5601億円に到達。2023年度は7,209億円、2026年には1兆2451億円に達すると予測しています。

デバイス別で見ると引き続き、スマートフォンで視聴するユーザーが市場を大きくけん引していますが、2023年はWeb動画をテレビで見るといった「コネクテッドテレビ」といった新しい分野が大きく伸びるだろうと見られています。

ユーザーの動画視聴体験の幅もどんどん多用化していくので、広告主はぞれぞれにあった広告表現によるコミュニケーションをますます求められることになるでしょう。

出典元:サイバーエージェント、2022年国内動画広告の市場調査を実施

動画広告を行う目的

動画広告を行う目的としては主に以下の3つが挙げられます。

認知拡大

商品やサービスを購入、利用してもらうには、まず世の中の人々にサービスそのもの自体を知ってもらう必要があります。

いかに自社の商品やサービスが優れていたとしても、そもそも存在自体を知ってもらわなければ購入する機会は生まれません。

動画広告はテレビCMやWEBサイト、SNS、交通広告、屋外広告など幅広い箇所で配信ができるため、多くの方の目に届き、効率よく認知を広げることができます。

また、「バスる」動画広告を生み出せば、影響力のあるインフルエンサーがSNS上で拡散するため、想定以上の認知獲得に成功することもあります。

ブランディング

ブランディングとは、商品やサービス、企業自体のイメージを世の中の人々に「その企業ならではのもの」といった独自の価値観を確立させることです。

動画は映像と音によって、ストーリー性や世界観を表現しやすいため、自社の強みや他社との違いを明確にすることができます。

ブランディングに成功すれば、商品やサービスの問い合わせはもちろん、求職者の問い合わせといった採用活動面でも恩恵を受けることができるでしょう。

購買促進

認知拡大に伴う顧客が増加すれば、売上の増加も期待できます。商品のメリットや具体的な使い方が分かる動画、またキャンペーンを盛り込んだ動画は、消費者の購買意欲をかきたてます。

実際にYouTubeやSNS上で商品の紹介、レビュー動画を見てから、商品を購入する人々も多くなっています。

また、ライブコマースやウェビナーといったオンラインによる消費活動も一般化しました。

動画であれば販売員不要でオンライン上で商品紹介ができます。企業はこれまで店舗がなく、対応していなかったエリアでも販売活動ができるため、新たな顧客獲得につながります。

動画広告の効果

動画広告のメリット

動画広告を利用するメリットとしては、主に以下の3点が挙げられます。

  • 視覚と聴覚にアプローチできる
  • サービスや商品の使用イメージを伝えやすい
  • 拡散力がある

動画広告は静止画やテキストと異なり、「動き」や「音声」によって人々の感性に訴えることが可能です。そのため、短時間で多くの情報を伝えることができます。

また、商品やサービスの使用イメージを視聴者に疑似体験させることができます。ストーリー性を持って伝えることができるので、人々の印象に定着しやすいのも特徴です。

さらに、動画広告はSNSで拡散されやすいという特性もあります。

一般的なユーザー投稿と同じ形式で広告配信されるため、広告特有の不快感も感じづらいです。

動画の内容によっては想定以上に拡散され、多くの人々に認知してもらえる可能性があります。

動画広告のデメリット

一方で動画広告のデメリットとしては下記のものが挙げられます。

  • 制作コストがかかる
  • クリエイティブ制作に一定のスキルが必要

動画広告の制作はバナー広告やテキスト広告と比べると、より専門性が求められるため、制作費用や制作期間がかかります。

撮影を行う場合はカメラマンやモデルなどの人件費を始め、会場代や機材費などのコストも発生します。

アニメーションを活用する場合においても、音楽や効果音といったエフェクトを加える編集作業が必要となります。

そのため、コスト、スキルの両面においてハードルが高いです。

自社内に制作ノウハウがない場合は、更にコストがかかりますが、外注への依頼を検討しなければならないでしょう。

動画広告の種類

動画広告には様々な種類がありますが、「インストリーム広告」と「アウトストリーム広告」の2つに大別されます。

インストリーム広告

インストリーム広告とは、視聴動画の再生前後で流れるCMのことです。YouTubeを中心に、FacebookやInstagram、TwitterなどのSNSで使用が可能です。

動画広告の主流のフォーマットといえるでしょう。

また、インストリーム広告は視聴している動画のどのタイミングで広告が表示されるかどうかで、種類が分かれます。

プレロール広告動画の視聴再生前に表示される広告
ミッドロール広告視聴再生中の動画の途中で差し込まれる広告
ポストロール広告動画視聴完了後に表示される広告

さらに、インストリーム広告には動画広告をスキップできるか否かでも種類の分類分けが可能です。

スキッパブル広告ユーザーの任意で広告スキップが可能な広告
ノンスキッパブル広告強制的に広告を表示させるスキップ不可の広告
バンパー広告6秒以下のスキップ不可の広告

アウトストリーム広告

アウトストリーム広告とは動画再生枠の外側で表示される動画広告です。

具体的には、Webサイトやアプリ画面の広告枠に表示される動画広告のことを指します。インストリーム広告の場合は動画視聴ユーザーにしか見せることができませんが、アウトストリーム広告の場合はより広範囲なユーザーにアプローチすることができます。

アウトストリーム広告にはいくつか種類があります。

インリード広告

インリード広告はメディアに掲載されている記事やフィードなどのコンテンツの間に表示される動画広告です。ニュースメディアの記事やSNSのフィードページをスクロールして広告が表示されると動画が自動再生される仕組みとなっています。

広告の専有面積と視認性が高いため、動画を全編見てもらいやすいという特徴があります。

インバナー広告

インバナー広告はメディアのバナー枠に表示される動画広告です。従来の静止画のバナー同様、動画メディア以外の媒体にも表示させることができるため、動画視聴ユーザー以外の人にもアプローチすることができます。

インタースティシャル広告

インタースティシャル広告とは主にWebサイトやアプリ画面などページ遷移時に表示される広告です。目的のページに到達する手前で表示されるため、必ず広告を見てもらえるという特徴があります。

動画広告の課金方式

動画広告には主に「CPM」、「CPC」、「CPV」と3つの課金方式があります。

CPM課金

CPM(Cost per mile)課金は、1,000回ごとのインプレッション(表示回数)に対してコストがかかる課金形態です。再生時間に関わらず、広告が表示されたタイミングで課金される点に注意が必要です。バンパー広告はCPM課金で設定されます。

CPC課金

CPC(Cost Per Click)課金は、表示された広告が1クリックされるたびに課金される仕組みとなっています。ユーザーが実際にクリックというアクションを起こした指標となるため動画広告に限らず、他のWeb広告でも主流の課金方式の一つです

CPV課金

CPV(Cost Per View)課金は動画広告の視聴回数に応じて、掲載費用が課金される形態のものです。1視聴とカウントする再生秒数に関しても掲載媒体によって基準がそれぞれ異なります。

動画広告が配信できる主な媒体

動画広告は現在、数多くの媒体で掲載が可能となっております。

その中でも主要となっている媒体を紹介します。

YouTube

世界最大の動画配信プラットフォーム。日本国内でも月間利用ユーザー数は7000万人を超えます。

下図の調査結果の通り、Youtubeは単に動画視聴を楽しむだけでなく、ユーザーの購買意欲にも強い影響力を与える媒体となっております。

画像引用:https://www.thinkwithgoogle.com/intl/ja-jp/marketing-strategies/video/youtube-recap2022-2/

広告配信はGoogle広告を使用するため、精度の高いターゲティングが可能となります。

広告フォーマットとしては、動画の視聴前後や視聴中に広告が表示される「True viewインストリーム広告」、YouTube内ではなく、YouTubeのパートナーサイトの広告枠に表示される「アウトストリーム広告」、YouTube関連動画欄や検索画面結果上部に表示される「インフィード動画広告」、YouTubeホーム画面の最上位に表示される「マストヘッド広告」、動画視聴再生中にポップアップ表示される「オーバーレイ広告」などがあります。

Facebook

世界で最もアクティブユーザー数が多いSNSといわれているFacebook。国内でも月間2,600万人以上の利用ユーザーがいると言われています。

アカウント作成には実名での登録が必要となるため、ビジネス目的で利用するユーザーが多いのが特徴です。

30代〜50代のユーザーをターゲットする場合は効果的な媒体と言えるでしょう。

配信面としては、「フィード」「ストーリーズ」「インストリーム」はもちろん、InstagramやMessenger、Facebookが提携する外部パートナーに配信する「Audience Network」があります。

Instagram

Instagramは現在、月間アクティブユーザー数3300万人を超えます。10代から20代といった若い世代のユーザーが多いのが特徴です。「インスタ映え」というような従来は静止画利用のイメージが強かったですが、最近では動画プラットフォームとしての認識も利用ユーザーの中で拡がっています。

配信面は「フィード」「ストーリーズ」「リール」の3種類があり、特に最近では「リール」を利用するユーザーが多いため、モバイル最適化した縦型動画広告を利用するのが効果的です。

Tiktok

Tiktokは近年最も利用ユーザーが増えたSNSの一つです。動画に特化したプラットフォームで、10代から20代のユーザーが半数以上を占めるという若い世代に支持されています。

特徴としては、自分で動画を検索しなくても、独自のAIが利用ユーザーの興味関心を分析し、それぞれにあった動画をおすすめします。

主な広告形態としては、アプリ起動時に表示される「起動画面広告」、ユーザーに参加を求める「チャレンジ広告」、視聴画面のおすすめ欄に表示される「インフィード広告」などがあります。

中でも、ユーザーの反応が高いとされているのがチャレンジ型広告になります。

チャレンジ広告は広告主がお題となるハッシュタグを作成し、そのお題に沿った動画を作成するのはユーザーになるため、ユーザーが自主的に動画を拡散する可能性があります。

Twitter

月間アクティブユーザー数が5895万人のTwitterは、最新情報を得られるというトレンド性に優れたSNSです。

ユーザーは匿名のまま手軽にテキストで情報発信することができるため、リアルタイムで新しい情報が発信されます。また、投稿内容に対しても誰でもボタン一つでいいね、リツイートができるため、拡散力もあります。

利用できる動画広告はタイムライン上で再生される「動画広告」、ライブ配信を行い、視聴者とコミュニケーションが取れる「プロモライブビデオ」、Twitterで閲覧しようとしている動画の前に表示される「インストリーム」が挙げられます。

LINE

日本国内のSNSにおいては最大の利用者数を誇るLINE。月間利用者数は9300万人を超えます。利用ユーザーが多いことから広告配信においても、非常に多くのユーザーにアプローチすることができます。

動画フォーマットに対応した配信面も非常に豊富に備えており、「LINE VOOM」といったショート動画の閲覧や投稿に最適化した配信面も用意されています。

その他動画広告の媒体については下記の記事でも詳しく解説しております。合わせてご覧ください。

関連記事 動画広告の主要媒体9選!種類や選び方のコツを解説

動画広告を制作する際のポイント

ここまで動画広告の特徴について説明し、良い点や悪い点もわかりました。ここからは動画広告で失敗しないために、おさえておきたいポイントを解説します。

ターゲットを明確にする

まずは、動画広告を制作する前に配信する目的を明確にしましょう。前章でも説明した通り、動画広告を行う目的は「認知拡大」「ブランディング」「購買促進」があります。

例えば、「購買促進」を目的とする場合は、端的に商品やサービスのメリットや使用方法を説明する必要があります。

また、「認知拡大」を目的とするのであれば、「インパクトのある内容にし、人々の記憶に定着させる」といった制作内容の構成が見えてきます。

目的が定まったら、アプローチするターゲットも明確にしましょう。

まだ、商品やサービスを知らない層にアプローチするのか、既に商品やサービスのことは知っているがまだ購入には至ってない層にアプローチするのか、どの年齢層に向けて広告を配信するのかなど、ターゲットが明確になれば制作に必要な要素が集まってきます。

ストーリー性のある動画にする

動画は人々の感性に訴えるという性質を持つため、良くも悪くもクリエイティブ次第で与える印象が決まります。

人々にポジティブな印象を与えるにはストーリー性を持った動画に仕上げるのが重要です。

動画の内容に一連性があれば、視聴者も動画内の要所要所だけを切り取って、商品やサービス、企業の良し悪しを判断しません。

インストリーム形式であれば動画視聴中に広告が表示されます。視聴者に不快な気にさせ、スキップさせないようにするためには、動画を「見てもらう」ではなく、「楽しんでもらう」といったストーリー性のある広告の制作を心掛けましょう。

ターゲットに合わせた配信先と動画形態を選ぶ

動画広告は配信先及び種類も豊富です。設定したターゲットに最も効率的にアプローチできる媒体や形態を選びましょう。

例えば、10代20代といったZ世代をターゲットとするのであれば、若年層のユーザーが半数以上を占めるInstagramやTiktokが効果的です。

企業のマーケティング担当にアプローチするのであれば、ビジネス層が利用するFacebookが効果的でしょう。

適切な配信先を選定しないと、思うような成果が期待できず、無駄に広告費を消化し、費用対効果が悪くなります。

配信先によってそれぞれ得意分野がありますので、媒体や種類の特性をきちんと理解しておく必要があります。

動画広告を効果的に活用した事例

動画広告を効果的に活用した事例を紹介します。

NURO光

ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社が運営する「NURO光」の動画広告です。他社と比べて、ブランド認知が低く、信頼感やメジャー感が低く申し込みに至りにくいことが課題でした。

こちらの動画ではメジャー感を伝えるために有名芸能人を起用、業界最速の回線速度とサービス利用料金が安くなるというキャンペーンをベネフィットとして訴求しました。
結果、申込件数が20%増加し、ブランド認知度は5%から18%に上昇、指名検索数に至っては昨年同期間対比 264.6% 増と大幅に増加しました。

参照:https://www.thinkwithgoogle.com/intl/ja-jp/marketing-strategies/video/youtubeworks-2022-4/

大阪ガスマーケティング株式会社

大阪ガスマーケティング株式会社の「大阪ガスの電気 スタイルプランP」のTwitter動画広告の事例です。こちらの電気プランはAmazonのプライム年会費がお得になるというメリットがあるため、Amazon関連のキーワードや興味関心項目をターゲティング設定し、リーチ最適化を図りました。クリエイティブに関してもUIに合わせて、音声再生されずともメリットが伝わるように調整。

結果、同時期に同予算で始めた他動画プラットフォームと比較し、Twitter広告では2.6倍のリーチ数に成功しました。

参照:https://business.twitter.com/ja/success-stories/osakagas-marketing.html

バルクオム

メンズスキンケアブランド「BULK HOMME」を展開する株式会社バルクオムのTiktok動画広告事例です。

ターゲットが18歳以上の男性となるため、美意識の高いユーザーが多く利用するTiktokを配信先とし、配信時間も獲得率が高まる夜の時間に設定しました。

クリエイティブについては、「香り」「泡立ち」「高品質」「無料キャンペーン」など訴求軸を変えて、複数パターン検証しています。

検証していく中で、商品のどの点がユーザーに刺さるのかが分かり、適宜予算配分の最適化が行えております。

結果、CV増加、CPC、CPAは安くなると、パフォーマンス面で大きな成果が生まれました。

参照:https://tiktok-for-business.co.jp/archives/6700/

まとめ

動画広告は現在、WEB広告の中でも一番拡大している市場であり、動画広告に対応したフォーマットも今後どんどん増えていくと思われます。

動画広告を実施する際は、配信する目的を明確にし、その目的を果たすのに適切な配信先、クリエイティブを作りましょう。

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