公開日:2022年12月09日
GA4を使って動画のエンゲージメントを計測し、活用していくための3つのステップ
みなさんは、制作した動画の効果測定をどのように行っていますか?あるいは、動画広告の効果測定はできないものと思っていませんか?
動画は効果測定がしづらいものという認識があるかもしれませんが、しっかりと指標を理解し、設計を行うことで、動画ならではの分析が可能になります。
さらに、動画のパフォーマンスはYouTubeだけではなく、GoogleAnalytics4(GA4)でも計測が可能になっています。GA4で設定を行うことで、動画を見たユーザーと見ていないユーザーで、サイト内の行動がどのように違うのかを可視化することも可能です。
ただ制作するだけではなく、次の施策につなげるための動画活用の方法を学び、実践していきましょう。
動画のエンゲージメントとは、どういう意味?
動画におけるエンゲージメントを見る前に、一般的なエンゲージメントの定義を見ていきましょう。
エンゲージメントとは何か
エンゲージメント【engagement】
広告などの各種マーケティング活動において、顧客の興味や注意を引きつけ、企業と顧客の結びつきを強めること。→エンゲージメント率
出典:デジタル大辞泉
日本語では「満足度」と訳されることが多いです。
- 例)顧客エンゲージメント → 顧客満足度
- 例)従業員エンゲージメント → 従業員満足度
エンゲージメントは目に見えるものではなく、何かしらの指標をもとに測定します。顧客満足度であれば、サービス提供後のアンケート結果などが該当します。
動画のエンゲージメントとは何を指す?
動画のエンゲージメントは、言い換えると「動画の満足度」であり、動画をみた人がどう思ったのかということになります。
そして、それを計測するためには「動画をみた人がどのように行動したのか」というデータが必要になります。
動画エンゲージメントとして代表的な指標
動画をみた人がどのように行動をしたのかを表す指標として、以下のようなデータが挙げられます。
- 動画視聴時間(再生率・視聴継続率)
- Call To Actionのクリック数・率
- いいね数(高評価数・低評価数)
- チャンネル登録数
- シェア数
- 直接コンバージョン数・率
- 間接コンバージョン数・率
これらのデータは、YouTubeで計測できる数値です。(コンバージョンはYouTube広告を運用している場合のみ)
動画の活用方法として、YouTubeチャンネルを運営している場合は「高評価数」「チャンネル登録数」がエンゲージメントの基準になります。
動画広告として運用している場合は、クリック数やコンバージョン数がエンゲージメントの基準になるでしょう。
ウェブサイトでも動画のエンゲージメント分析が可能
ここまでは動画を使った効果測定として一般的に認知されている内容かと思います。一方で、動画とウェブサイトのデータを照らし合わせて、動画のエンゲージメントを測定する方法を御存知でしょうか?
その方法とは、GoogleAnalytics4(GA4)を活用することです。
GA4では動画の視聴行動をイベントとして計測できる
GA4では、ウェブサイトに埋め込まれたYouTube動画を検知して、視聴行動を計測することが可能です。
計測できるイベント | 説明 | 取得できるパラメータ |
video_start | 動画の再生開始 | 動画のタイトル、URLなど |
video_progress | 動画の再生時間 | 10%, 25%, 50%, 75%など |
video_complete | 動画の再生終了 | 動画のタイトル、URLなど |
動画の視聴イベントの有無でセグメントを分ける
GA4にはセグメント機能があります。セグメント機能とは、アナリティクスのデータのうち、特定の条件に合致するデータをフィルタリングして分類することができる機能です。
セグメント機能と動画の視聴イベントをかけあわせて、ウェブサイト内で動画を閲覧したユーザー(あるいはセッション)と、非視聴ユーザーというセグメントを作ることができます。
視聴ユーザーと非視聴ユーザーで行動に差があるかを確認する
動画の視聴ユーザーと非視聴ユーザーで、サイト内行動に差がないかを確認することで、動画による効果、つまりエンゲージメントを確認することができます。
具体的には以下のようなデータを確認すると良いでしょう。
- 滞在時間
- コンバージョン率
- 回遊率
- フォーム到達率
GA4で動画データを計測するためのステップ
ステップ1 ウェブサイトに埋め込む動画URLに計測用のパラメータを設定
GA4では、YouTube動画を検出して再生開始や終了を計測することが可能です。ただし、埋め込むタグにプラスの設定が必要になります。
通常、YouTubeの埋め込みタグ(HTML)は以下のようなソースコードです。
<iframe width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/M7lc1UVf-VE"></iframe>
GA4で計測できるようにするためには、上記ソースコードを一部変更する必要があります。具体的には、src=”https://www.youtube.com/embed/M7lc1UVf-VE”となっている部分に、?enablejsapi=1というパラメータを追記します。
<iframe width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/M7lc1UVf-VE?enablejsapi=1"></iframe>
なお、詳細は省略しますが、GoogleTagManager(GTM)でも、同様の操作を行うことが可能です。
ステップ2 GA4もしくはTagManagerで動画関連のカスタム変数を追加
GA4あるいはタグマネージャーで、動画関連のイベントを計測できるようにカスタム変数の設定が必要になります。
上記の設定を行うことで、動画のURLやタイトルなどのデータが取得できるようになります。
ステップ3 GA4でセグメント設定を行う
最後に、動画の視聴イベントが計測されたユーザーと、そうでないユーザーとで、GA4のセグメント設定を行います。
2つのセグメントを、Googleデータポータルなどを使ってレポート表示すると、動画のエンゲージメントが判断しやすくなります。
Google広告と連携することで、更に分析が可能に…「エンゲージメントビューコンバージョン」
Googleは、YouTube動画を視聴してから3日以内にコンバージョンに至ったかどうかを計測する「エンゲージビューコンバージョン(EVC)」という新しい概念を発表しています。
2022年12月現在、テスト中の機能になっており正式にローンチはされていないため、その恩恵はまだ受けることができませんが、実装された場合、動画マーケティングにおいて非常に重要な指標になりえます。
概念としては、ウェブサイトを閲覧後、追いかけてバナー広告などを表示する「リマーゲティング広告」に近いものがあります。
動画で大々的なプロモーションを行ったあと、動画視聴ユーザーに向けてリマーゲティング広告を配信し、コンバージョンにつなげていく…という「動画リマーケティング」はすでに実現している機能ですが、この動画リマーケティングの効果検証をより精緻に行えるようになると想像できます。
インタラクティブ動画ならより詳細なエンゲージメントスコアが計測可能
ここまで、YouTube動画を使ったエンゲージメントの測定方法について解説してきました。
一方で、インタラクティブ動画であれば、特別な設定を行わずに、ユーザーのインサイトを含めたデータ測定が可能です。
インタラクティブ動画には動画内をタップする機能が備わっているため、ユーザーが能動的に行った動作の計測が可能です。
また、動画内にリンクを設置することや、アンケートフォームの埋込も可能です。
Brightcove社の調べでは、他の媒体に比べてインタラクティブ動画のほうが10倍以上の効果がある…というデータもあります。
一般的な消費者向けマーケティング キャンペーンでは、デジタルであれ、従来型であれ、1 _回の行動に対して 1 ~ 2% の応答率が成功基準と言われています。インタラクティブ動画の場合、最大 2.5% の視聴者が少なくとも 5 回の行動を行っています。…(略)…しかし中規模の動画配信でも、他の媒体よりも 10 倍以上の効果があった_のだと思い直しました。
Brightcove「視聴者とインタラクティブ動画のエンゲージメントについて、これまでにわかっていること」より引用
Videoクラウドでは、インタラクティブ動画の制作から配信までをサポートしています。気になる方はぜひお問い合わせください。