なぜ中小企業の採用は難しいのか?4つの課題と意識すべきポイントを解説

「中小企業だからいい人材が取れない。」

そう頭を抱える中小企業の経営者や採用担当の方も多いのではないでしょうか。

一般的に中小企業は大手と比べると「知名度がない」「採用コストがかけられない」「他社と比べると強みを打ち出せない」といったことから採用活動は困難と言われています。

この記事ではそんな中小企業をとりまく現在の採用市場を踏まえながら、中小企業が採用活動で抱える課題と採用活動を成功させるためにおさえるべきポイント、成功事例をご紹介します。

現在の中小企業の採用市場

まず、中小企業の採用市況は現在どのようになっているのかを見ていきましょう。

中小企業の定義

中小企業とは、経営規模が規定以内の中小規模の企業を指します。

中小企業基本法においては「中小企業者」と呼ばれ、従業員数や資本金、出資金の数によって定義されています。

一 資本の額又は出資の総額が三億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が三百人以下の会社及び個人であつて、製造業、建設業、運輸業その他の業種(次号から第四号までに掲げる業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの

二 資本の額又は出資の総額が一億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社及び個人であつて、卸売業に属する事業を主たる事業として営むもの

三 資本の額又は出資の総額が五千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社及び個人であつて、サービス業に属する事業を主たる事業として営むもの

四 資本の額又は出資の総額が五千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が五十人以下の会社及び個人であつて、小売業に属する事業を主たる事業として営むもの

中小企業庁 中小企業基本法

中小企業の採用市場

採用を強化してより良い人材を取り入れていきたいと考えていても、人手不足や採用に課題があると感じているのではないでしょうか。 

採用に苦戦する企業が多い要因は少子高齢化の影響で労働人口が減っていることが関係していることが考えられます。

2010年には総人口1億2,806万人でしたが、2048年には1億人を割って9,913万人、2060年には8,674万人と加速度的に減少することとなります。

人口減少に伴い労働人口も減っていき、2030年では5,683万人、2060年には3,795万人になる見込みです。

出典:内閣府「人口・経済・地域社会の将来像(1)総人口」
出典:内閣府「人口・経済・地域社会の将来像(3)人口急減・超高齢化の問題点」

中小企業の半数以上が人材不足を実感

日本政策金融公庫の「全国中小企業動向調査・中小企業編」 2021年10-12月期特別調査によると、53.2%の企業が従業員数に過不足感を感じており、人材を増加したいが採用に苦戦をしている状況が読み取れます。

また、リクルートワークス研究所が発表した「第 38 回 ワークス大卒求人倍率調査(2022 年卒)」によると、2022年卒の大卒求人倍率は1.5倍です。

従業員別の内訳は、5000人以上の企業では0.41倍、1000~4999人規模の会社だと0.89倍、300~999人の規模感では0.98倍、300人未満の会社だと5.28倍と中小企業の採用活動は大手に比べると難しい状況となっています。

前年の3.40倍から1.88ポイントも上昇しており、ますます中小企業の採用が厳しくなっています。

出典:日本政策金融公庫「「全国中小企業動向調査・中小企業編」 2021年10-12月期特別調査」
出典:リクルートワークス研究所「第 38 回 ワークス大卒求人倍率調査(2022 年卒)

中小企業が抱えている採用課題とは?

採用活動を行うにあたり、特に中小企業を取り巻く環境が厳しいものであるとイメージいただけたかと思います。

それを踏まえて中小企業が抱える大きな課題を4つ挙げます。

 1.応募がこない

応募がゼロ、あるいは極端に少ないケースです。

知名度が大手と比べると負けてしまい、HPに募集要項を記載してもアクセスが集まらない状態です。

2.内定辞退者が多い

せっかく内定を出しても、辞退されてしまうケースです。

例えば新卒採用では学生は複数の企業にエントリーしているので自社の魅力を十分に伝える必要があります。

内定後に辞退が多い場合は、内定者が抱えている不安を解消することが大切です。

3.良い人材が採用できない

必要な人材・良い人材を定義することが大切です。
具体的にはどのようなスキルが業務上必要か、何をどれくらい経験している必要があるか。
会社の雰囲気とマッチする人物像など具体的に言語化することがポイントです。

4.採用コストをかけられない

大手企業と比べて採用費を多くかけられないため、無駄な予算を投下せず、効率的に採用活動をする必要があります。

多くの中小企業様では上記のいずれか、またはすべてに当てはまると感じつつも、これらの課題に対して、具体的なアクションを起こせずに悩んでおられることが多いと思われます。

「上手くいっていない」と感じつつも、どのように採用活動を強化したらよいかわからない、人的リソースの不足、優先的に取り組む事案の選別など、多くの悩みを抱えながら事業を進めておられるのではないでしょうか。

中小企業が採用を成功させるポイント~採用ペルソナ編

これまで当社でお取り組みさせていただく中で多く見られたのは、自社のことを十二分に求職者に対して伝えられていなかったり、求める人物像がはっきりと言語化できておらず曖昧なまま採用活動を行っている、といった事例でした。

採用活動を行う上では、まずは自社の目指す未来像と現実とのギャップを言語化することが大切になります。そのギャップを埋めることができる、会社を前進させることのできる人物を明確にすることが必要です。

まずは、下記2点をイメージしてもらえるとわかりやすいのではないでしょうか。

1.自社の経営課題を考える、達成した目標を決定する

自社が目指す未来像はなにか。現状とのギャップを言語化してみてください。
課題が見えてきたら、描く未来像に向かって目標を設定しましょう。

2.必要な人物像を定義する

1で決めた目標を目指すために今時点で必要な人物像(能力・志向性)を考えてみてください。

求める人物像がはっきりしたら、例えば、これまでに募集したことがないような人たちも含めて(雇用形態など)声をかけるなど、採用の幅を広げられないか検討してみるとよいかもしれません。

中小企業が採用を成功させるポイント~募集・選考編~

会社が目指す方向性と目標、それを担える人物像が見えたらいよいよ採用活動に本腰をいれましょう。具体的には、次の2つを意識して、採用活動に取り組むことで求める求職者にリーチすることができるようになると思います。

1.ターゲットに伝わる求人票とコンテンツを作成

求める人物像が決まれば、必要なスキルに加え、企業の課題やなぜ必要なのか、を伝えることができるようになります。

言葉で表現しきれないことや視覚的に表現したほうが伝わりやすい内容は動画を活用することで、より有望な人物に出会える確率をあげることができるようになると思います。

2.採用後のフォロー制度

長期的に働ける環境の整備や活躍できるフォロー体制も重要な要素です。

どれだけ有能で意欲的な求職者であっても、新しい環境ですぐに結果を出せる人は一握りしかいないと思います。

活躍しやすい環境を整え、周囲がバックアップしていくことでより早く周囲に馴染むことができるようになると思います。

中小企業の採用成功事例

採用活動を進める上で参考にできると感じていただけたなら幸いです。

これまでお伝えした内容を踏まえた例をいくつか最後にピックアップさせていただきました。
採用活動の成功事例になりますので、一読いただければと思います。

 1.株式会社グローバル・ クリーン

・採用難であったが、職域の固定概念を取り払い、働きやすい職場を実現し、人材定着に取組む。 

・ 女性・障がい者など多様な人材で構成されたチームで、研修で磨かれた高い技術力を発揮。売上 も毎年増加している。

2.株式会社KMユナイテッド

・技術の伝承が課題。男性・日雇い勤務が業界の常識の中、全員正社員雇用女性採用を行う。

・一人前の職人になるには10年かかる世界で、作業工程を切り分けることで、経験の無い人材も 短期間で戦力となる人材育成システムを展開。

 出典:中小企業庁「中小企業・小規模事業者 人手不足対応ガイドラインの概要」

  まとめ

昨今の採用市場は特に中小企業にとって厳しい状況です。
しかし、良い人材を採用することも可能です。
どの企業様も既存のやり方にとらわれず、採用方針を検討し直すことで
採用活動を成功に導いています。

当社では担当者が、御社の状況をヒアリングし募集要項を作り直すことや、
動画を使った採用促進も行っております。
採用活動にお困りの企業様は当社にお任せください。

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