公開日:2020年11月17日
ユニクロの動画広告から見る動画の「つなぎ」のテクニック
撮影した映像をつないでいくことで動画が完成する、というのは当然ですが、映像と映像をどう「つなぐ」かで完成した動画の印象は大きく変わってきます。
今回はそんな「つなぎ」を上手く活用しているユニクロのCMを事例に動画制作における「つなぎ」のテクニックをご紹介します。
そもそも「つなぎ」って何?
「つなぎ」には動画制作における様々なテクニックが隠されています。
ただ映像をつなげていくだけでは単なるスライドショーになってしまいますが、「つなぎ」のテクニックを用いることで、視聴者に対して違和感なく動画を見せたり、世界観の表現やメッセージを伝えることも可能になります。
今回は、ファッションデザイナー ジル・サンダー氏とのコラボレーションライン「+J(プラスジェイ)」の復活で、その行列・混雑ぶりがTwitterでトレンド入りする等、なにかと話題に事欠かないユニクロの動画広告を通して「つなぎ」のテクニックについて紹介していきます。
UNIQLO | + J 2020秋冬
こちらは、冒頭でも触れた+Jのコレクションムービーです。
内容はとてもシンプルで、+Jの服を身に着けた男女3人がポージングをしたり、歩いたりしている様子を撮影し、つなぎ合わせています。
適当に映像をつなぎ合わせただけに見えるこの動画広告ですが、実は様々な工夫がされているのです。
動画制作における「つなぎ」の種類
まず映像をつなぐにあたって、つなぎの種類が5つあります。
①要素つなぎ
連想ゲームのように似たような要素でつなぐ。
同じような場面がつながる場合、アクセントとして使用することもできます。
②アクションつなぎ
歩く様子など同一のアクション、ダンスなどでつなぐ。
アクションの速度を変えたりすることでメリハリもつきます。
③カメラムーブつなぎ
カメラを上に振るなどカメラの動きでつなぐ。
被写体に動きが付けられない固定されたものなどでよく使用されます。
④インサートつなぎ
街や電車や景色などを挟んでつなぐ。
どんな場面なのかをイメージさせながら再生を続けていただきやすくなります。
⑤カメラ隠しつなぎ
手で隠す、横切るなどカメラを隠してつなぐ。
次の展開へ急展開させたいときなどに有効です。
以上の5つのつなぎは主に「ポートレートムービー」でよく使われる手法です。
「ポートレートムービー」とは人物をテーマの中心に置いた動画のことで、人ひとりを主人公として、人を見せることにフォーカスしたシンプルなムービーを指します。
「ポートレートムービー」で最も重要なことは「つなぎ」がしっかりしていることだと言われています。
つなぎ以外のことはどれだけ自由にしていてもよく、どんなことをやっても良いですがつなぎだけはちゃんとしていないと動画が成り立たなくなります。
それくらい「つなぎ」は動画制作の、特にポートレートムービーにおいては大事な要素とされています。
今回の+Jの動画広告はこのポートレートムービーの定義に当てはまっていて、かつ上記のつなぎが使用されています。
どこに、どんなふうに使用されているのかを以下で詳しく説明していきます。
ユニクロの動画広告の「つなぎ」を解説!
+Jの動画広告では、先程紹介した中の2つの「つなぎ」が使用されています。
ユニクロの動画広告の「つなぎ」(1)要素つなぎ
まずは「要素つなぎ」が使われています。
顔のアップのあとは顔のアップが続いていたり、黒い服のカットがいくつか続いていたりするのがわかると思います。
わかりやすい例として、22秒ごろ女性の首元から男性の首元へとカットがつながっています。
これは「首元」という同じ要素でつないだ要素つなぎを使用していて、違和感なくつながっていることがわかるのではないでしょうか。
ユニクロの動画広告の「つなぎ」(2)アクションつなぎ
そのほかにも「アクションつなぎ」が使用されています。
アクションつなぎはとてもわかりやすいので、ピンときた方も多いと思います。
この動画では歩いているカットでつなげる、振り向いたり目線をこちらに向ける動作でつなげる、といったような具合に異なるカットを自然につなげています。
その他の「つなぎ」が使われている代表例
ソニー公式
こちらでは「④インサートつなぎ」が使用されています。
「インサートつなぎ」はインタビュー映像によく使用されています。
ソニーのインタビュー動画では、人が話している途中に話している映像以外のカットが差し込まれているのがわかります。
このような関連のある映像を差し込んでつなげることをインサートつなぎといいます。
岡崎体育さん
残りの「③カメラムーブつなぎ」「⑤カメラ隠しつなぎ」はどちらも上記の岡崎体育の動画の30秒ほどまでに使用されています。
3秒ごろカメラを上に振って戻すことでつなぎ、25秒ごろカメラを手で隠すことで次のカットへつないでいます。
これらは多用してしまうとくどくなるのでここぞという時に使用するのが良いでしょう。
まとめ
このように、ユニクロの動画広告から動画制作のテクニック「つなぎ」を紹介してきました。
これから何気なく映像を見ているときにこのような「つなぎ」が使われているのを発見してみるのもおもしろいかもしれませんね。
動画広告や動画制作について興味のある方、少しでも気になった方はお気軽に下記のフォームからお問い合わせください!